現在、広島市西区に一人暮らしで2DKのマンションに住んでおり、持ち家はない。
過去ずっと働いており、あっという間に年を取り、結婚もせず子供もいない状態で現在に至っている。未婚女性の典型的な例である。
身体の健康状態は良好ですが、年齢のせいか寄る年波には勝てないといった感じ。友達もたくさんおり、毎日付き合いに忙しく、時々シルバーセンターからの依頼でビルの清掃に行ったりしている多忙な女性です。
「なぜ、この死後事務委任契約をしたのですか」と聞くと「親戚はいるのだけど遠方で今更連絡を取る意思はない。動けなくなったら、火葬して海にでも散骨して欲しい」と。
「でも散骨も簡単なものではなく、近くの川や海に流したらいいというものでもないようです。」と返答した。本人は、簡単にできるものと考えていたらしい。

本人は浄土真宗なんだけど、葬式も別にこだわらないし、墓もないから永代供養も要らないという。行政の死亡手続きだけはしておかないといけないけどと言う。
本人に言わせると、私の思いは先生にまだ話していないけれど話せば長くなるからと言った。胸の内にいろいろな想いを持っているらしい。
ともかく、本人から言わせれば本人の生き様を見届けてくれる人が決まったという安心感があるらしい。現実に今どうのこうのという訳ではないけど。今の世の中、いざという時にどうにもならないということにならないためにも、今元気なうちに頼んでおきたいと私に言う。
毎週1回本人の安否を確認するうちに、なんか家族が一人増えたような気持ちになって、本人の人生の重みを背中に背負ったような感じがする。気がひきしまる。
でも、まだまだ彼女のことを何も知らない。知っているのは、元気に生活をしているということだけ。だんだんに彼女との距離を縮めていかなければならない。
生活記録カードを作っていかないと彼女のことを何も知らない。死後事務委任契約をしたといったって、死んだら後のことはお願いしますという簡単なものではないことに気付いた。
当事務所でエンディングノートを作っているが、在庫がある。これを活用して聞き取りをしていったらいいのではないか、一人一人にそうしていくことに決めた。そうしたら、彼女の思いが少しでも分かるかもしれない。
「死後事務委任契約」この言葉に何気ない言葉の重みを感じて、やはり一人暮らしの人たちに必要なものであり、気が付く内にやっておかないといけないと感じた。
●63歳の女性の場合
西区の63歳の女性からの死後事務委任契約の申込みがあった。
今現在、80歳の母親を介護している。離婚して子供が一人いるが、まだ就職活動中で頼りにならない。自分にもしものことがあったとき、母や子供をおいて死んでも死にきれない。
人は年の順番に死んでいくというけど、順番が狂うこともあるので、早めに今元気なうちに死後事務委任契約をしておきたい。たちまち、本人の意志を確認して死後事務委任契約書を作成。
手始めに、お父さんが10年前に亡くなってその遺品が大事に保管してあり、今となっては処分しておきたいと言われる。
本人(63歳の女性)が言うには、故人や親せきの依頼は、故人の大切にしていた額縁、本などは価値がないと言って、とりあえず処分とのこと。
家の中を見渡すと確かに要らない家財道具が1/3を占めている。たちまち邪魔になるわけでないけど処分できれば処分したいと思うのはもっとものような気がする。月に1回、定期家具処分見回りの日を作ってあげたら喜ばれるのかなあと思いつつ、衣類・不用品の処分を手伝った。
社会が消費税増税、医療制度や子育て制度の改革だのとばたばたしているのに、荒れている海面の上とは別に海中の中は静かに漂っている・・・。そんな思いを抱いて生活をしている人もいる。しかも母親を介護しなければならないという辛さは誰にも言えない。言っても意味がない。
ただ、時が過ぎるのをそのまま生きるだけ・・・
*http://uttaeteyaru.jugem.jp/に掲載された内容の紹介です